手奇塾のブログ

大人も知らない各社歴史・公民教科書の違いをわかりやすく徹底比較します。

「最門司さくらの憂国日記」 【手奇塾】第21回 台湾有事と日本の危機

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今回の「最門司さくらの憂国日記」は、力の均衡、台湾有事と日本の危機についてお話しします。産経新聞によれば、中国の習近平氏は、10月9日、辛亥革命110年の記念演説で、台湾問題は完全に中国の内政で、外部のいかなる干渉も許さないと強調し、祖国の完全統一という歴史的任務は、必ず実現しなければならないと述べたそうです。また、イギリスBBCニュースも同じく、中国と台湾の緊張:習近平氏は「統一」が実現されなければならないと述べたと伝えています。中国が、いつのまにか台湾や尖閣諸島を自国領土と主張するようになりました。漢民族満州人の清朝から独立した辛亥革命では、漢人による満洲人の虐殺が1週間も続いたといわれています。これは決して教科書には書かれません。満州人は満州国の崩壊とともに滅んでしまったのでしょうか。かわの前統合幕僚長は、台湾有事になれば沖縄、奄美も戦域になるのは軍事的に常識とおっしゃっています。台湾国防部の発表によれば、10月1日の昼に延べ25機、そして夜に延べ13機、合計延べ38機の中国軍機が、防空識別圏に侵入したそうです。これは1日に確認された中国機の侵入としては過去最大だったそうです。さらに翌日2日には昼に延べ20機、夜19機、さらに10月4日には、52機が侵入したと発表しました。またも過去最高を更新したのです。昨年、台湾のADIZに進入した中国軍機は、計380機でしたが、今年はすでに600機を超えたそうです。確実にエスカレートしています。これについて台湾の新聞報道では「国慶節に合わせ、中国軍が軍事力を見せつけたのと同時に、夜間に第1列島線の外側で、台湾や他国の海軍と空軍の部隊を攻撃する能力があることを示している」という専門家の分析を伝えています。この他国のという意味は、明らかに今南シナ海に展開している、西側諸国の空母部隊を指しています。また、台湾の国防部は8月末に「台湾の南西沖を中国軍の訓練区域として取り込み、台湾軍の活動空域を狭めたり、防空の負荷を増やしたりしようと企てていると言っています。日本では9月に台湾がTPPに参加申請をしたため、中国が怒ったからという報道もあります。しかし、今中国は、電力不足や大手不動産会社の巨額債務返済問題を抱え、国民の不満は高まっているでしょう。民間企業の報道事業を禁止にする予定とか、国内の締め付けもエスカレートしています。もはや言論はおろか報道さえも自由が無くなりつつあります。台湾に対する軍事的圧力を高めて緊張をエスカレートしている理由は、この辺も関係しているのではないでしょうか。もしそうであれば今の緊張は高まるばかりで、緩和する可能性は低いのではないでしょうか。まさに少しづつ、台湾の空域を切り取っていく、中国のサラミ作戦です。台湾進攻のためには、どうしても制空権と制海権を中国側が握らなければなりません。現在の中国機による台湾空軍や西側艦隊に対する猛烈な圧力は、制空権は必ず中国がとるという意思を示しているのかもしれません。台湾と与那国島の距離は111kmです。天気が良ければ見えることもあるようです。この距離は、今の戦闘機であれば15分で飛べる距離です。台湾軍機も中国軍機もスクランブル中は、日本の防空識別圏など無視して侵入するかもしれません。この時わが国はどう対応するのでしょうか。航空自衛隊の中国軍機に対するスクランブル回数がこの3年平均で、約680回という数字も十分に異常ですが、最近の台湾海峡は、日本よりもさらに異常な状態にあることが分かります。これは航空自衛他のスクランブル回数のグラフです。2020年の中国軍機へのスクランブルの減少について防衛省の担当者は、「対象になるような距離まで近づいてくる航空機は減ったが、遠い空域での飛行は続いている。中国機の活動は引き続き活発だ」と話しています。先の総裁選の討論会で高市氏が発言した、敵基地攻撃能力の保持とは、わが国や台湾の防衛に、米軍の後方支援という限定的な軍事行動ではなく、積極的に、且つ主体的に台湾と先島、尖閣諸島を防衛する、自衛権の範囲で行う抑止戦略といえるのではないでしょうか。敵ミサイルから自国を防衛できなければ抑止力を高めることが必要です。つまり力の均衡です。これはわが国が開発中の長射程弾道ミサイルの射程距離を示した図です。最終的には北京と平壌が射程距離に入ります。抑止力のボタンをわが国は、他国にたよることなく、持つことになります。また、我が国の外交方針も少しづつ変化しています。令和3年4月、菅首相とバイデン大統領の首脳会談の共同声明では、初めて中国を名指しで非難したのです。「経済的および他の方法による威圧の行使を含む、国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した」と明記されました。また令和3年のわが国防衛白書では「台湾をめぐる情勢の安定は、わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」と言っています。いままで政府は、台湾という表現ではなく、台湾海峡と言ってきました。しかし、今回の防衛白書では遠慮せずに台湾と表現しているのです。6月に、中山泰秀防衛副大臣は米ハドソン研究所でのオンライン講演で「我々は民主主義国家としての台湾を守る必要がある」と主張しました。7月5日の講演で、麻生太郎副総理兼財務相は、中国が台湾に侵攻した場合、安全保障関連法が定める存立危機事態として認定する可能性があるという考えを表明しました。存立危機事態になれば、日本が直接攻撃を受けなくても「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生したと政府が認識し、限定的な集団的自衛権を行使できます。制約はありますが、オーカスやクアッド諸国の軍隊に自衛隊が協力できるわけです。麻生副総理の発言は、もし中国が、台湾に武力攻撃をした場合、日本は、自国の存立危機事態とし、限定的な集団的自衛権を行使しますよという中国に対する脅しともとれます。これには早速中国が、日本はけしからんと怒り、中国が日本を核攻撃するyoutube動画を発信し、わが国民を恫喝しましたが、わが国のマスコミはこれを無視しました。さて、国民が注目した自民総裁選挙でしたが、岸田内閣が成立しました。この内閣の内に中国が台湾に侵攻するかどうかわかりません。しかし、防衛大臣外務大臣が再任され、クアッド諸国や英国との意思疎通は途切れず、継続されることになったことは米国や欧州も歓迎するでしょう。今後中国は、台湾に対する圧力をさらに高めていくのではないでしょうか。いざというとき専守防衛では、自衛隊の犠牲が大きくなる危険があります。ミサイルの時代、専守防衛ではもはや台湾はおろか自国の防衛さえ心もとない状況です。政府は昨年12月の閣議決定で、敵基地攻撃能力をめぐる検討の無期限延期を決めましたが、私たち国民は、憲法改正や敵基地攻撃能力保持が、待ったなしということをもう理解しなければならないのではないでしょうか。次の総選挙で国民の判断を仰いていただきたいものです。